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櫻の花が咲く頃に。 【鬼滅の刃】

第1章 分岐点 ※







櫻乃side




案外、鬼はすぐに見つかった。


存在を忘れられ、誰も来なくなった寺は、鬼にとって絶好の隠れ家なのだ。




『鬼さんこちら、手の鳴るほうへ』





そう言い手を叩く。だけど一向に動く気配は見られない。



普段は童が歌う可愛らしい童謡。だけれどそれを抑揚なく歌う結霞はなんとも不気味だ。




『……鬼さん一緒に遊びましょ?』




小首を傾げながらにこりと微笑む。




「アンタ…鬼殺隊か」




『鬼殺隊?それとは違いますねぇ…。でも、人間を食らう生き様は感心しませんよ』




赤子をあやすように優しい声で言う。手に持った木刀を指の腹でさすりながら、寺に足を踏み入れる。



その中には片目を髪の毛で隠して、白い着物を身にまとった美しい女の鬼がいた。



目は深海のような深い水色。瞳孔は縦に割れている。スッとした鼻筋。



唇は真っ赤な紅で染められている。その女の鬼は形のいい唇を動かして言う。





「妾に恨みでもあんのかい?」




『何故、そう思いに?』




「簡単さ、妾には人間の体が透けて見える。神経や心の動きは感情に素直だ。微かな揺れも妾にはわかる。何年も生きれば神経や心の揺れだけで感情や心が読めるのだよ。

…そうだ、試しにお前の心を中を当てようぞ」





これは名案だ。とでもいうかのように私を見据える。嗤う口元を見れば発達した牙が覗く。



やはりコイツは人外だと気付かされる。




「そうねぇ…私が昨夜食った男と女か。あやつらはアンタの親だったわけねぇ…。


そんで復讐といったところか。でもあの二人、妙に不味かったなぁ。食い損というやつか。食ってやっただけでも感謝してほしいくらいだな。」





まるで私を挑発するような口調振り。先手を打たせたいのだろうか。




「それに生憎、アンタには私は倒せないよ。なんせ私は___





























   "十二鬼月だからねぇ…。"







片目を隠していた髪をかきあげる。覗かした目には「下参」の文字が刻まれている。




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