第2章 初任務
星月side
ガチャ
部屋の主である私の許可無く入ってきたのは、使用人の女一人。
完全に舐められたものだなぁ…。
「…?!?!ばっ…化け物!!!」
私の姿を見て思ったのかそう叫ぶ使用人。
それもそうだ。瞳孔は縦に割れ、爪は鋭く尖り、口からは牙が覗いている。
私が鬼になって初めて殺す人間だ。光栄に思ってほしいなぁ…。
『血鬼術 摩天楼・乱れ月___』
床から天井に向けて縦に斬撃が広がる。
使用人の女は、呻き声をあげながら、バラバラになった。
その騒ぎで、他の使用人も駆けつける。
全員一人残らず殺していき、この家にいた使用人と家族含め、計40名を一人残らず惨殺した。
私は日が昇る前に、稔さんの家へと急いだ。
家は血の匂いだってするし、ボロボロだし、異様なのは見て取れる。
バレるのは時間の問題だからだ。
『稔さんっ…!!!』
家の扉を叩くが、応答はない。
なんで……お父様に危害を加えられた…?
「なんなの…こんなに朝早く……煩いよ」
すると稔さんの家の隣の住人が顔を出した。
『稔さん……稔さんを知りませんか?!』
私は住人の女性にしがみつく。
するとその人は顔を顰めた。
「あの青年ね…二日前に引っ越してったわよ?家の都合でなんたら…って」