第2章 初任務
星月side
その日から私は、ずっと家で監視されていた。
私は心配でたまらなかった。
稔さんに危険が及んでいるのではないかと。
あと少しで祝言が開かれる。
あともう少しで、私は他の人と夫婦になる。
そしてもう二度と、稔さんには会えなくなってしまう。
…ああ、此の世に神様が存在するならば、私と稔さんをもう一度会わせてください。
気がつけば、祝言前日の夜になっていた。
窓を開け、外を眺める。
帝都の景色が、よく見えた。
街の中心部は栄え、賑わっているのが遠くからでもわかる。
逆に私の家は、気味が悪い程に静まり返っている。
『この家の人達皆、…死んでしまえばいいのに…』
そうすれば私は、稔さんと同じ時を歩めるのだろうか?
誰にも止められることなく。
夜空に問い掛けてみるも、答えは返ってこなかった。
代わりにあの人が、私の前へと現れる。
「邪魔な人間を、殺したいか?」
その声の主は邪悪な悪魔の筈なのに、私にとっては神の声に聞こえたのだ。