第2章 初任務
星月side
別れはいつも突然に、そして残酷にやってくる。
「星月、オマエは最近夜になると家を出ているらしいな。使用人から聞いたぞ。…もしや逢引をしているわけではないな?」
食事中の父親の唐突な言葉に、私は思わず手が止まる。
私の家では、お父様が食事を終えるまで、席を立つことは許されない。
それを利用して、聞いてきたのだろう。
『……逢引?何のことでしょうか?』
私はナプキンで口を拭きながら、そう言う。
「…恍けるのも大概にしろ。オマエには婚約者がいる。他の男と夜中会うなど言語道断」
『お気に触れたなら謝ります。しかし私の自由を奪う権利は、お父様にはありません』
「…ハッ、オマエと婚約者の祝言を早めることにした。三日後だ、覚えておけよ」
『なっ…!!嫌です!!私は稔さんと!!!』
「…稔というのか、オマエを誑かしている輩は。…始末しておこう」
そう言ってお父様は立ち上がる。
『辞めてください!それはどうかお辞めください!!稔さんは悪う御座いません!!』
「フンッ、知ったことか」
私はお父様に掴み掛かるが、呆気なく振り解かれた。
「この家にいる間、外出は禁じる。頭を冷やし、大人しく謹慎しておけ」
その一言を言うと、お父様は去っていった。