第2章 初任務
星月side
「それは大変ですね…あ、よれけば僕の家が近くにあるので、直して帰った方が良いのでは…?針と糸がなければ、直しようもありませんし」
『良い…のですか…?』
「僕は大丈夫ですよ。だけれど女性を遅くまでいるのは、貴女のお家の方も心配なさるでしょう?」
『…私は、大丈夫です』
「じゃあ、ついてきてください…って、歩けませんでしたよね、すいません、失礼しますね」
何に失礼するのかと思えば、私に近づいてきて背中に手を置き、脚を持ち上げた。…横抱き?!
初めてのことで怖くなり、彼に体を寄せる。胸に顔を埋めると、規則正しく、トクトクと心臓が動く音がする。
まるで恋仲同士のようで、恥ずかしくなる。
『あっ…すいません…!!重いですよね、降ります…!!』
「暴れないで、むしろ軽いですよ。恥ずかしいかもしれませんが、じっとしててくださいね」
その言葉に、素直にじっとすることにする。落とされても困る。
四半刻も経たぬ内に、彼の家らしき場所につき、ようやく下ろしてもらえた。
そこは裕福とも言えぬ、貧しいとも言えぬ、普通の家だった。