第2章 初任務
星月side
私は、名家のたった一人の娘だった。昔からずっと、物に困ることはなかった。
欲しいと思うものは簡単に手に入った。でも……一つだけ、手に入らなかったものがある。
_________愛だ。
親からも、兄弟からも、愛を貰うことはなかった。仲良くしようと声をかけても、一瞥される。
でも心の何処かで、仲いい家族になれるんじゃないかって思っていた。
だけどそんな甘い考えは打ち砕かれた。15歳になる冬の頃、私に縁談の話が入った。
相手の家も名家だった。親は勝手に話を進め、結婚しなければならなかった。
私を追い出すにはいい話だと思ったんだろう。
私は夜に、こっそり家を出るようになった。
きっと結婚してしまえば、こうやって一人で家を出るなんて出来ないだろうから。
私は一生鳥籠の中。男の言いなりになるだけ。
私の頭の中に、未来の言葉はなかった。