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櫻の花が咲く頃に。 【鬼滅の刃】

第2章 初任務





櫻乃side




 …このままじゃ、助けられない。



 このまま突っ込めば、運良く二人を助けられるか、それとも二人共殺されてしまうか…。



 でも突っ込まなければ、娘さん…花子さんは助からない。



 もしかしたら奥さんも殺されてしまうかもしれない。



 私は頭が真っ白になり、喉もカラカラに渇いた。



 助けたいのに…。




「もっと食べてあげるわ、光栄に思って頂戴」






 星月は花子さんの髪を引き千切り食べる。



 奥さんは泣いて星月に縋っている。



 だけれど私は何もできない。



 まさに地獄絵図だ。



 過呼吸気味になりながらも、私は息を静かに吐き、目を閉じた。



 母に教えられた。



 "たとえどんなことがあろうとも、どれ程の犠牲を払ったとしても、鬼の頸は必ず斬りなさい"



 "一人でも多くの人を助けてね、結霞なら出来るわ___"




 何もしていないと、戦況は悪くなる一方だ。



 私は攻撃をすることにした。



 これ以上被害を広げないために、この一撃で終わらすつもりで。







『___櫻の呼吸 参ノ型 枝垂れ櫻』





 刀身を斜めに傾け、渦を巻くように身体を回転させながら、親子の身体を避け、鬼の腕を斬った後に、鬼の首に斬り込む。



 艶やかで美しい技だが、身体能力や肺活量が高くなくては実現不可能な技だ。



「な゛っ!!!!」




 星月は油断していたのか、私が斬り込むことに気づくのが遅れた。



 私は躊躇いもなく、鬼の頸を斬る。



 ゴロリと頸が地面に落ちる。



 奥さんは星月の腕から開放されると娘の方に覚束ない足取りで走った。



 そして抱き締める。



「花子!!!花子!!!目を開けてよお願い!!!」



 奥さんの願いは悲しくも、花子さんが目を開けることはなかった。



 ……私のせいだ。完全に私のせいだ。



 頸を斬るのを躊躇ったからだ。




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