第2章 初任務
櫻乃side
鬼は憐れな生き物だ。人だった頃、同じ"人"に忌み嫌われ、鬼になる選択肢を選ばざる得なかった。
同じ生物である"人"に人としての人生を握り潰されたのだ。
辛く、苦しい思いをしているときに、その心に漬け込んで鬼にする鬼舞辻無惨も、また憐れだ。
人を鬼へと変え、日光に当たれず人を食らうことしかできない鬼としての道しか生きられないのだ。
星月の過去は知ることは出来ない。知る権利は私にはない。
私には悲しみの連鎖を断ち切るために、鬼の頸に刃を振るうことしかできない。
どんな理由であろうと人を殺める理由にはならない。
被害者も遺族の方も納得できる理由なんてあるわけない。
今このときだって、鬼に未来を奪われている人たちがいる。その事実は否定できない。
でも鬼を鬼として見るのではなく、頸を斬り、人として最後を迎えさせてあげたいのだ。
たとえ、どれだけの人を殺めたとしても。きっと道を間違えたのには、訳があるはずだから。