第2章 初任務
櫻乃side
『偽善者のつもりはありません。貴女にそう見えてしまったのなら謝ります』
「……っ…消えて!!消えてよォ!!!お願いだからァ!!!アタシの前から…消えろォォ!!!!」
星月は一人称が私からアタシに変わり、興奮状態なのがわかる。目を見開き、怒鳴り散らすように私に叫んだ。
両足を再生させ、狂ったように私を血走った目で見てくる。まるで理性を失った獣ようだ。
でも星月の瞳は、私を見ているのではなく、私を通して誰かを見ているように見えた。
「血鬼術 星月菩提樹!!!」
星月の血鬼術が発動する。星月の掌から砂金のように美しく煌くものが現れる。
それは私の方へと向かってきた。刀で捌き切ることらしい困難と判断し、上に飛んで木に退避する。
私のいたところは星月の血鬼術により溶けている。周りの木々にも飛び散り、木が腐った。
「なんであのときアタシを置いて!!!貴方さえいればアタシはっ!!!」
あのとき…やはり星月は私を通して誰かを見ているんだ。面影が似ているのだろうか。