第2章 初任務
櫻乃side
すると鬼の気配が揺れた。きっと狙いを私に定めているはず。
どんな血鬼術を使うのかもわからないから、相手の出方を伺う。前の方から、鬼の気配が強くなる。
「こんばんは、今日は星が綺麗ですね」
暗闇からぬっと出てきたのは美しい金髪が映える女性だ。
でもその瞳は髪の色とは対照的に、輝きを失い真っ黒に染まっている。
『…月も綺麗ですね』
私は素早く刀を鞘から抜き、構えた。
「…鬼狩りさんでしたか、態々お越し下さり光栄ですわ。みーんな自分から来てくださるんだもの」
口角を上げて嗤う女の鬼。喋れるし、理性もある。
片目は見えないけれど、十二鬼月に近い鬼だと推測した。
『…何故貴女は、人を食らうのですか?』
私は鬼を滅するときに、鬼と話をすることにした。
何故鬼になったのか。何故人を食らうのか。何故人の頃の記憶を忘れるのか。何故残忍な行為ができるのか。