第2章 初任務
櫻乃side
『月鈴…どうでしょうか』
すると名前を気に入ったのか、カァと鳴く。
「素敵な名前だね月鈴か…」
『…この飾りは、前の人のものですか?』
私が指したのは月鈴についている飾りのことだ。
「ああ、月鈴は前の子の死を目の前で見た。速さなどは優秀で申し分ないんだけどね。飾りは外したがらないんだ」
『…そうですか、この子も大切な方を…』
そっと頭を撫でてあげる。目を閉じて嬉しそうにするけれど、何処か寂しそうだった。
『…そろそろ、いかなければなりませんね。』
「……ご武運を」
あまねさんがそう言ってくださる。
『ええ、行ってまいります』
トンッと高く跳び上がると、私は任務先である北北東の町へと急いだ。夕刻までに情報収集もしなければ。
町についた。一見普通の町に見えるが、所々で鬼のいた気配があった。
でも途中で気配が途切れたりするため、神出鬼没の鬼のようだ。
烏によると、15歳以下の女が連れ去られるとのこと。…私もその15歳以下に入ってるんだよなぁ…。