第1章 分岐点 ※
櫻乃side
…………へ?
母親の感じからして、嘘を言っているようには見えない。さらに母親は爆弾発言を落とす。
「今年で結霞は11歳だって喜んでたじゃない」
………はい?え、11歳、?
もう何がなんだかわからない…。
状況を整理すると、私は転生した。ここの世界は明治時代で、1907年の冬。
前世は2022年で19歳、医大生だったがこの世界では11歳。
……そうこう考えているうちに、やがて空は黒く染まり、夜の帳が降りる。
私は諦めて寝ることにした。
寝ようとしたとき、鼻に届いたいい香り。
その匂いをたどれば、父親とお香があった。
「…結霞、早く寝なさい。鬼どもが来てしまう」
ウトウトと微睡みを味わっていた私の耳に届いたその単語。鬼という言葉。
一気に脳は覚醒し、お香に目をやる。
そこには藤の花のお香があった。