第1章 分岐点 ※
櫻乃side
_____肺が痛い
手足を蝕む冷たさで目が覚める。
つい先程まで車にはねられていたはずなのに、何故か景色が違う。しかも体の自由を奪った痛みもない。
頭を上げれば、雪の華がチラチラと舞い降っていることに気づく。どうやらここは山奥のようだ。しかも雪山。
私は視界の端に映る古民家を見つけ、そこに向かった。駆け込むように入り暖をとる。
すると家の中にいた女性と男性が私を見る。
「結霞、そんなに慌ててどうしたの?外は寒いからこっちへおいで」
いきなり私の名前を呼ばれビクッとする。どうやら転生…をしてしまったのだろうか。
よく小説とかであるやつ…。私の母親らしき人に手招きをされ、近づく。母親は片目がなかった。
今は情報が少なすぎる。無闇に行動を起こさないほうがいいに決まってる。私は大人しく母親の前に座る。
「元気がないな。どうかしたか結霞?」
『あっ…ううん。少し外が寒くて…』
とりあえず、今がいつなのか知りたい。それと、ここはどこの世界なのかも。
『お母さん、今日の西暦と日にちは?』
結構怪しまれる質問だったかもしれない。
だけど母親は不思議そうな顔をしながらも答えてくれた。
「1907年の12月25日よ」