第1章 分岐点 ※
櫻乃side
私は会って間もない隠の人に言ってもいいのかと少し言い淀むが、減るものでもないから良いかと自己完結する。
『櫻の呼吸という、櫻乃一族に伝わる呼吸なのです。あ、私の名前は櫻乃結霞と申します。』
「僕は今枝(いまえ)と言います。櫻乃さん…櫻の呼吸にぴったりな名前ですね」
『ええ、ありがとうございます』
軽く談笑を交わしながら、里長の元へとつく。
『はじめまして、櫻乃結霞と申します。今日はお世話になりますので、よろしくお願い致します』
「どうもコンニチハ。ワシ、この里の長の鉄地河原鉄珍。よろぴく。座って構わんよ」
よろぴくってこの時代でも使うんだ…となんだか感心しながらも里長さんのお話を聞く。
「里で一番小さくって一番えらいのワシ。まあ畳におでこ付くくらい頭下げたってや」
『よろしくお願い致します。里長様』
そう言いながら畳におでこをつけるくらい頭を下げる。
「まあ、ええ子やな。おいで、かりんとうあげよう」
『お言葉に甘えて、頂きます』
ススっと里長さんの近くにいってかりんとうを食べる。…この黒糖の感じ…絶妙で美味しいな…。