第1章 分岐点 ※
櫻乃side
『…ここが、刀鍛冶の里…』
隠の人に案内されて、無事につくことができた。耀哉さんは里長さんによろしく…と言っていたけれど…。
『あの…すいませんが、道案内をお願いしてもいいでしょうか?』
「はっ、はい!!何処に行かれますか?!」
『里長の方に会いたいのですけれど…』
「わかりました!こちらです!」
私はついていきながら、スンスンと鼻を嗅ぐ。
『…温泉…かしら?』
「はいっ、隊士の方たちか羽根を休まれる場所でもあります」
独特な硫黄の匂いはやっぱり温泉があるからなのか…。
入りたいけどそんなことしてたら夜になっちゃうものね。夕方には帰らなければならないし…。
うんうん、我慢我慢。
「…あの…貴女は、柱になられる方なのですか?」
隠の人が道案内をしながら遠慮気味に訊ねてくる。やはり目隠しをしなかったからかな…。
『いいえ、階級はまだ癸ですよ。これからもっと上げていかないとですね』
「だとしてもすごいです。僕は剣技の才能がなかったので…」
『でも隠の方々のお陰で、私達鬼狩りが安心して鬼を狩ることができているんです。ありがとうございます』
この数時間で、隠の人たちの凄さを身に沁みて感じた。
「こちらこそありがとうございます…ところで貴女は、なんの呼吸を使われるんですか?」