第1章 分岐点 ※
櫻乃side
私は少し緊張しながら袖を腕に通す。
白を貴重とした羽織。裾の方には薄いピンク色の櫻が描かれている。
柄は主張しすぎず、上品で、肌触りもよく、高級な素材を使っているのがわかる。
私はくるくると回りながらお館様に訊く。
『ど、どうでしょうか…?』
「うん、素敵だね。」
そういい、微笑んでくれる。
やはりお館様は褒め上手だ。それに加え包囲力もある。
「…そろそろ隠の子が来てくれるかな…?」
『隠…』
「鬼殺隊の事後処理をしてくれる子たちだよ。…結霞は身寄りはないだろう?」
『…はい。そうです。』
「…結霞は住むところはないだろう…?他の子たちのところに行かせるのも可哀想だ…。」
「…耀哉様…。ここに住んで頂くのはどうでしょう?」