第1章 分岐点 ※
櫻乃side
私は事細かに詳細を伝えた。麗羅の話も、両親の話も、櫻の呼吸を使ったことも。前世の話はしていないけれどね。
「…成程、思い出させたくないことを言わせてしまったね。」
『いえ…』
お館様は一呼吸置いて、私に問う。
「…私たちと一緒に、悪しき鬼を滅してくれないかい?」
…私は、肉親を奪われた悲しみ。理不尽な世界。全部、どこか他人事だった。
人はいつか死んでしまう。その死因が鬼に食われたことだっただけ…と。
けれど、この世界で育ててくれた両親の死と、麗羅の討伐。
この世の不条理を知り尽くしてしまったからには黙ってやられたままではいられない。
『……私は、鬼殺隊に入ります。そして鬼を滅します』
そういい、まっすぐとお館様を見据える。
「…ありがとう結霞。君ならそう言ってくれると思っていたよ」
……そういえば、体の神経は狂っていたはず…。…治ってる…?
「ふふ、君がその下弦の参、麗羅を滅したからね。血鬼術の効果が切れたんだよ。」
まるで私の心を見透かすようにそういうお館様。…私ってそんなに顔に出やすいかな…?