第1章 分岐点 ※
櫻乃side
パチリと目を覚ましたとき、見慣れない光景が広がった。自分の家じゃない。
布団から起き上がり周りを見渡す。全体的にものは少なく、といって質素なわけでもない。
単に、生活感のない家だ。…というより屋敷か。
『こ…こ、こは…』
自分の服に目を落とすと、麗羅を倒したときとは違った、上品で高級感溢れる浴衣。思わず目を見開いていると、襖が開く。
そこから白髪の女性が入ってきた。
「お目覚めになられたようですね。はじめまして、私は産屋敷あまねと申します。」
そう自己紹介をし、頭を下げるその人。
『はじめまして、櫻乃(さくの)結霞と申します。あの…ここは…?』
「櫻乃さんですね。ここは鬼殺隊の本部、産屋敷邸です」
…ここは鬼殺隊の本部なの…?あの…お父さんとお母さんが入っていた…。
「櫻乃さんは七日間、寝ておられました」
『七日間も…』
「……櫻乃さんにお話したいことと、お聞きしたいことがあります。歩けますか?」
『はい。大丈夫です』
私は立ち上がり、あまね様について行く。