第1章 分岐点 ※
麗羅side
「麗羅…僕を…食べてくれ……」
『えっ……?』
「僕を…君の一部にしてほし…い…」
そんなっ…。
「僕がそれを望んでいるんだ…決して、後悔しないで…、」
「あ、あと……僕が麗羅と名付けた理由はね…。君を初めてみたときに…綺麗で……きれ……」
突然言葉が途切れたかと思い、心さんの顔を見る。すると、穏やかに微笑みながら事切れた心さんが視界を独占した。
此の世でたった一人の、愛おしく、お慕いしている人。
私は彼の冷たくなった唇に接吻を一つ落とすと、彼の身体を味わった。骨の髄まで愛した。
それは甘くて、美味しかった。でも……貴方を失った悲しみを、私は抱えきれなかったんだ。
鬼となり、人を無作為に殺して食らう。いつの間にか大事で愛おしくてたまらない貴方を忘れて。
命に変えても貴方が大切なのに。