第1章 分岐点 ※
麗羅side
「…オマエ、最近遠出が多いよなァ。昨日ついていったら、桐賀柄寺の息子と仲良くしてただろォ?」
翌日、私が家から出ようとすると父親からそんなことを言われた。
私の父親は、まさに非道な人だった。盗みを幾度となく繰り返し、敲(たた)き刑を受け、入れ墨を両腕に三本入れさせられた。
罰を受けた後はこの村に行かされ、労働を強制された。
元々短気なこともあってから、その日頃の鬱憤から元遊女で盗みを犯した女を強姦した。
その女との間に生まれたのが、私なのだった。
私の母親は、私を生んでまもなく自殺を図った。残されたのは父親と私。暴力に耐える毎日。
でも心さんのおかげでなんとか正気を保てていたのだ。
心さんは、私の全てなのだ。
『は…はい…』
「アイツとオマエは釣り合わない。諦めろよォ。…オマエ、アイツと盛ってんじゃねェよなァ?」
『ちっ…ちがっ…!!』
心さんはそんなことする人じゃない。私と心さんは釣り合ってないのは本当だけど…。
心さんを侮辱するのは許さない!