• テキストサイズ

櫻の花が咲く頃に。 【鬼滅の刃】

第1章 分岐点 ※






麗羅side





「言えない事情があるなら仕方がないですね…。そうだ、僕が貴女に名前をつけてもいいでしょうか?」




言えない事情があるのだと勘違いをしたのか、心さんはそういう。




『…つけて…くれるの……?』




「ああ、…そうだな…………そうだ!今日から君は麗羅(うら)だ」




『麗羅…?』




「うん、いいかな?」




『…ありがとう…』




生まれて初めて与えられた名前に、高揚する。
だけれど……




『…なんで…心さんは…麗羅って名前に…?』




「…んー…それは内緒ってやつかな。」




ずっと保っていた紳士的な笑みとはまた別の、いたずらっ子のような笑み。私の心臓はドクドクとしている。




初めての感情に、少し戸惑った。




「また明日もここにおいでよ。一緒に話そう?」




『うん』




それから私は、毎日の日課のように寺の敷地の裏へと通った。


私のいる村からは遠いけど、いけば心さんが待っていてくれるし、何より私が会いたかった。




罪人の娘と名家の息子。釣り合わないとわかっていても、私は通い続けた。



でも、終わりは突然に訪れる。







/ 71ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp