第2章 瀕死になった主人公と五条(ネームレス)
以前、これを一級に使ったら全治一ヶ月の怪我をした。
そんなことで怖気付いてどうする。
私は、呪術師だ。
自分が何級であろうと、敵が何級であろうと。私は、誇り高い呪術師なんだ。
喉が潰れそうになる程に叫び、ありったけの呪力を流し込む。頭が、焼き切れそうだ。おそらく、両の瞳から血が流れているのだろう。
呪霊の腕が私の身体を一振りで吹き飛ばし、壁に背中から突っ込む。
身体が痛い。でも、やるしかない!
本当は、何で私がこんなことをしなきゃいけないんだって思ってる。
あんな馬鹿たちが笑って過ごしているのに、何で私がアイツらのために命を賭けなきゃいけないんだって思ってるさ!
自分を無理矢理奮い立たせて特大の呪力を食らわせて、呪霊が消えるのを確認した。
走馬灯が先生の笑顔ばかりで、知らぬ間に先生に恋をしていたことを自覚した。
「せんせ……っ、わたし、がんば、ったよ」
『最期に、先生の笑顔見たかったなあ』
「せん、せ……ごめん、ね、すきだ……った、よ」
『先生、助けて』
何て、今更遅いけど。
誰かが私の名前を叫ぶ声が聞こえる。
ごめんなさい。私、もう眠いの。
意識は、そこでブラックアウトした。