第2章 君たちが笑えば、私は幸せだと。そう思っていた。
【〇月✕日】 さまときとねむにノートをかってあげた。
ふたりとも、とてもよろこんでくれたからうれしい。
これからもなかよしな、きょうだいでいたいな。
【〇月✕日】 おとうさんが、ぶってきた。こわい。たすけて。
【〇月✕日】 おかあさんが、おとうさんにぶたれてた。
おかあさんはわたしたちを、まもってくれてた。
わたしももうすこしおおきかったら、おかあさんと、さまときとねむををまもれるのにな…。
はやく、おとなになりたいな。
【〇月✕日】 お父さんにお腹を殴られた。 尿と一緒に血が出てきた。 お父さんが、怖い。
【〇月✕日】 お父さんに逆らったら、合歓に酷いことをしてもいいのかって言われた。
あんなに可愛い妹をこれ以上傷つけさせてたまるか。 私が傷つけばいいだけの話だ。 左馬刻と合歓と、お母さんは私が守る。 死んでも守る。
【〇月✕日】 左馬刻が私を嫌っているようだ。 まぁ、無理もない。
お父さんに私には何もしてもいいから、あの二人とお母さんにバレないよう服で隠れるところを傷つけてって言ったから、傍から見たら傷一つついていないように見えてるもんな。
とにかく、左馬刻と合歓とお母さんが少しでも平穏に過ごせれば、それだけでいいや。
【〇月✕日】 お母さんがお父さんを殺して、自殺してしまった。
ねえ、お母さん。気づいていたの?
私が、みんなを守るためにお父さんから暴力を受けていたことを。
お母さんが死んじゃったら、意味ないじゃんか。 傷つくのは、私だけでよかったのに。