• テキストサイズ

【ヒプマイ】碧棺兄妹の姉【家族愛】

第2章 君たちが笑えば、私は幸せだと。そう思っていた。




「……なぁ、姉貴」

「ん、どうしたの?」

「……やり直せねえか?」  

今、左馬刻はなんと言った?? やり直せないか、と言った?

「一から。家族として、やり直してぇんだ。やりてえことが、あんたにしてやりてえことが。……沢山あんだよ」  

左馬刻を振り返ると、後悔の色に染まった表情で私を見つめていた。

「私もね、お姉ちゃんにしてあげたいこと、沢山あるんだ……。沢山聞いて欲しいこともあるし、お姉ちゃんに聞きたいことも沢山ある……」

 合歓が私の手をその華奢な手で包み込みながら、そう話す。

「母さんもお前のこと待ってっから、俺らんとこに帰って来い」

 その言葉に、涙腺がまた緩む。

「……っ、いいの?」

「当たり前だろうが、ダボ」  

左馬刻は少し照れくさそうに、確かにそう口にした。

「俺らの姉貴は、こんなにも弱虫だったんだな……。気づけなくて、本当に悪かった」  

私はまた謝りだした二人に笑みがこぼれる。

「言ったでしょう?私は二人が幸せなら、それでいいって」  

でもね、それだけじゃダメだって。今の大きくなった、大人になった二人の温もりに触れて気づけた。

「今度は、三人で幸せになれるかな?」  

この弟妹たちの幸せが私の幸せであるように、私の幸せがこの二人の幸せだって気づけたから。

「当たり前だ」

「当たり前だよ、お姉ちゃん!」  

あぁ、私は。  

私は、こんな家族を。こんな弟妹を持てて幸せだ。

「……おかえり」

「おかえり、お姉ちゃん!」  

あぁ、何年ぶりの言葉だろう。  

何年も何年も、求めたくても求められなかった言葉。  

私は溢れ出した涙を手で拭い、笑顔でこう言った。



「……ただいま!」



【完】
/ 15ページ  
エモアイコン:泣けたエモアイコン:キュンとしたエモアイコン:エロかったエモアイコン:驚いたエモアイコン:なごんだエモアイコン:素敵!エモアイコン:面白い
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp