第2章 君たちが笑えば、私は幸せだと。そう思っていた。
ドンッ
少しの衝撃と、背後から感じる温もり。
そして、腰に回された白い肌の腕。……嘘だ。そんな筈は無い
そうは思うのにその手首についているのは、見覚えのあるブレスレットで。
「……っ、お姉ちゃん…… 」
震えるその誰よりも優しい、柔い声。
その声が、私という人間に染み込んでいく。
溶けて、混ざって、溢れ出す。
本当は振りほどいて、逃げてしまいたい。そして、視線の先から歩いてくるのは……。
「……っ、さま、とき?」
すっかり大きくなって、怖さも増した我が弟だった。
何故、彼等がここに?
少なくとも教えたのは入間さんなんだろうけど、なんでこんなところに?
合歓はともかく何故、左馬刻が?
「……なんで?」
目の前まで来た左馬刻に、それしか言えなかった。