第2章 君たちが笑えば、私は幸せだと。そう思っていた。
私は左馬刻から絶縁とも取れる発言をされてからヨコハマを飛び出し、イケブクロで暮らしていた。
最初は死に場所を探して、うろうろしていただけだったけど、過ごしていくうちに愛着が湧いてしまっていた。
「おかあさーん、待ってよー!」
四歳か、五歳くらいの子供が買い物袋を手に提げた母親らしき女性に向かってそう叫んで走って行き、片方の手を繋いだ。
母の葬儀の後、左馬刻から絶縁宣言をされた私はイケブクロの街をふらふらしていると今までにない腹痛に襲われ、病院へと搬送された。
何故か内科から産婦人科へと移され、医師から告げられた。
「申し上げにくいのですが、碧棺さん。……あなたの子宮は、潰れてしまっています」
自分の子宮は、潰れて使い物にならないことを。
「強い衝撃を与えるようなことはありませんでしたか?」
医師からの問いに、あの日。 父から蹴り飛ばされたあの日が、脳裏を過った。
あぁ、そうか。だから、トイレに行く度に。
いや、生理が来てもいないのに血が垂れ流しになっていたのか。