第5章 飲まれて過ちを
足を止め、両手を開きながらお願いする
黒羽「はぁー?」
『お願い!!今度何でもするし!またご飯奢る!』
何でもねぇ…口角をあげて意地悪な笑顔が浮かぶ
黒羽「ならいいですよ、どうぞ背中に乗ってくださーい」
しゃがんでくれた背中へと私は飛びつく
顔を背中に埋めると彼の匂いがする
『快斗くんいい匂いする』
黒羽「恥ずかしいからやめろよ!そんなこと言うの!」
『ははっ、ごめんね』
顔は見えないけど声からは少しまた照れたような声がする
『快斗くん顔はイケメンだし、優しいからモテちゃいそうだよね。青子ちゃんとか?あー、後黒髪ロングの美人ちゃんとかに』
黒羽「青子って…あいつはただの幼なじみだよ!別にあいつにモテても嬉しくねーけどな!黒髪ロングの美人って…紅子の事か。あいつにもモテても嬉しくねーよ」
『青子ちゃんはただの幼なじみか…紅子ちゃんはただのクラスメイト?』
黒羽「あいつはただのクラスメイトだよ。」
『すっごい美人だよね〜』
黒羽「唯吹さんの方がすっげー美人だっつーの」
『うわ!!嬉しいなぁ!快斗くんにそう言われるとすっごいすーごっく!!嬉しい!!』
黒羽「あ、あんま俺から離れんな!落ちるぞ!」
『ごめんごめん。嬉しくてつい』
嬉しいあまり抱きつく力が強くなる
快斗くんにおんぶされる何て夢みたい。迎えに来てくれたのもそう。
『幸せだなぁ…』
黒羽「何か言ったか?」
『んーん!何でもない!あ、もう少しで私の家!』
黒羽「遠くからでも見えるあのでっけぇマンション?」
『うん!そのでっけぇマンション!』
黒羽「うわ〜すげぇな!」
『着いちゃうしもうおろしても大丈夫!』
黒羽「なら、おろすな」
おろしてもらいお礼を言う
『重くなかった?大丈夫だった?』
黒羽「全然重くなかったぜ?」
『ならよかったぁ』
並んで歩いているとマンションに着く。
マンションに着いちゃった。まだ快斗くんと居たい。
黒羽「無事に送れたし俺帰るな」
「またね、唯吹さん」と言いながら手を挙げ帰ろうとする腕を掴む
『まだ一緒に居たいって言ったら快斗くんは嫌かな。』
黒羽「っ!今どんな顔してるかわかってそれ言ってる?」
『え?』