第5章 飲まれて過ちを
私をおろしそれじゃ、と手をあげ帰って行く
私は快斗くんの顔をガン見する
その視線に気付き、私の顔を見てきた
『本物の黒羽快斗くん?』
そう言いながらベタベタと快斗くんの顔に触れる
黒羽「俺は本物ですよ」
顔に触れていた手を彼の両手に包み込まれる
『そっか!本物の快斗くんかぁ!!』
勢いよく彼に抱きつく。勢いが良すぎて倒れるかと思ったが、彼は倒れこまず私を支えてくれた
黒羽「ちょっ!!」
『声聞ければ満足だったんだけど、聞いたら会いたくなっちゃって。会いたかった快斗くん』
彼の体温を感じてたくて数分間抱きついていた。
快斗くん歩いてきてくれたのかな、少し体が冷えてて今の私には気持ちいい体温してる。
黒羽「あの〜、唯吹さん?そろそろ離してくれねーと恥ずかしいんだけど?」
『ん〜、わかった』
名残惜しく体を離し、彼の腕に腕を絡めて歩き出す
黒羽「たっく…次は腕ですか?」
『離れたくないんだもん。それじゃ家にレッツラゴー!』
黒羽「はいはい」
歩いていても私の酔いは冷めることはない。
彼と会えたのが自分が思っているより嬉しかったのが酔いが回るのがわかる。歩きながら彼の顔を見ていると、この前指摘したのが効いたのか彼はポーカーフェイスで顔を崩さないで歩幅を合わせて歩いてくれてくれる。
『今日の快斗くんはポーカーフェイスがお上手ですね〜』
黒羽「この前唯吹さんに言われたからなぁ。頑張ってんだよ!」
『マジックもしてないんだからポーカーフェイスしてなくてもいいのに?顔を赤くしたり意地悪な顔してるの私、好きなんだけどな』
たっく!と言いながら頭をかき、少し照れてる様子だった
黒羽「せっかく頑張ってたのによぉ。そんなこと言われたら頑張り損じゃねーか」
『ふふっ
でも、私の言ってる事覚えてくれてたのは嬉しいなぁ』
黒羽「俺の事からかって楽しいですか〜?」
『からかってるつもりないよ
本当の事しか快斗くんには言わないから』
顔は見ていないが彼はため息をついているのがわかる。
そんなのはお構い無しにドンドン自宅の方向へ進んで行く。
たわいも無い話を多少していると酔っているせいなのか足がおぼつかない。ヒールの事もあり、足が痛くなっていく。
『足いたーーい!!快斗くんおんぶして!おんぶ!』