第3章 創られた青春
青子「唯吹さんにそんな事言われて嬉しいです!」
『さん付けじゃなくても大丈夫だよ
好きなように呼んで?』
青子「唯吹ちゃん!って呼んでも…」
『是非!』
青子「きゃぁ!可愛い!私中森 青子です!」
中森ってどこかで聞いた気が…
あ、園子ちゃんのパーティーにいた警部の名前が確か中森だった気が。
『中森って…お父さん警部とかしてる?』
青子「何で知ってるんですか!?」
『前に中森警部とパーティーで会ってね
怪盗キッド捕まえるためにそのパーティーに居たみたいで
そこで顔を少し合わせたくらいで』
青子「そうだったんですね!お父さんったら私にそんな事言ってなかったのに…」
『仕事で来てたみたいだし、忙しそうだったから』
話が少し中断するとカメラマンが指示を出してくる
カメラマン「前の席の男の子申し訳ないんだけど唯吹ちゃんの彼氏役で出てもらってもいいかな?」
黒羽「え!俺?!」
生徒「快斗ずりぃ!!」
生徒「俺も唯吹ちゃんの彼氏役してぇ!」
カメラマン「彼氏役って言っても手だけだから!顔は写らないから安心してくれ」
『嫌なら断っても大丈夫だよ?』
黒羽「手だけなら」
『ありがとう黒羽くん』
カメラマン「彼女に接するようにしてみてくれ」
黒羽「え、あっはい」
黒羽くんの手が私の方へ近付いてくる
私はその手を握り自分の顔の頬へ持っていく
驚いたのか少しだけ肩が揺れる
私この手に触れられた事ある?
どこかで覚えがある手をしていた
『緊張しなくても大丈夫』
私も黒羽くんの頬に手を置く
『私の手だけに集中してれば緊張なんてしないよ、ね?』
少し顔を赤らめて彼は頷く
カメラマン「いいね、高校の初心感が出てて堪らないねぇ」
そんな事を言いながらシャッター音がきれる音が何回も聞こえてくる
カメラマン「唯吹ちゃんもう少し彼を愛おしそうにして貰える?」
愛おしそうにって何だろう。表情は出来るけど正面向いてると愛おしそうに何かわからないよね、少し考え行動に移す
彼の手を頬から取り唇に持ってきてキスを落とすと黒羽くんは何が起こったのか理解した瞬間顔を赤らめて口をパクパクと開いている
『ごめんね。愛おしそうにって言われて私なりに考えたのがこれで…』