第6章 好きな人。
肩を落とし悲しげに目を伏せる彼女を見て、胸がチクッと痛んだ気がした。
・・・・・・・いや、何?今の。
自分の胸に手を当てるもすでに痛みなどなくーーー
気のせいって事で片付ける。
それより。
ドアに背をもたれ掛け、に向き直った。
「恵はそんな風に思ってないでしょ。」
『でも・・・傷つけしまったかもしれません…。気持ちを伝えてくれたのに、拒絶するような態度、、、とってしまったから…。』
徐々に尻窄みになる声。
ふーーん、成る程ね。
何となく事の経緯が掴めてきた。
あの冷静な恵が随分衝動的に動いたもんだね。
恋愛に関しては案外不器用なタイプだったのか。
「で、は恵の事、どう想ってんの?」
僕はその場にしゃがみ込み、と同じ高さに目線を合わせ、じっと揺れる瞳を覗き込んだ。
『・・・どうって言われても、、そんな風に見た事無かったし、、、』
「それなら気を持たせなくて正解だったんじゃない?
中途半端な優しさは余計に相手、傷つける事になるでしょ。」
『・・・・。』
は眉を八の字に下げ目線を床に落とした。
ーーーーま、の性格からして突き放したりは出来ないよね。
「前にも話したけど、今の状況を克服するには好きな人を作るか、好きな人に抱いてもらうのが1番だと僕は思ってるワケ。
はさ、ホントは大事に想ってる人、いるんじゃないの?」
『・・・そ、それは、、、』
図星なのかはわかりやすい程に視線を彷徨わせた。