第6章 好きな人。
目線の高さが同じになり、真っ直ぐな視線が突き刺さる。
ほんと、昔から鋭いよね。
僕は足を組み、ん〜〜。と顎に手を当て考える素振りを見せた。
「ーーー両方、かな。」
「ズル。」
「ククッ、でしょ?だからどっちに転ぶかわかんないよ〜。
恵のライバルになるかもしれないし、ならないかもしれない。」
喉奥を鳴らし笑ってみせると、恵は呆れたようにため息を吐いた。
「やっぱりもうこの話はいいです。つーかこの3人、、」
「恵ーーー。」
言葉を遮った。
そして、
「はさ、今までずっと失うばかりの人生だったんだよ。
だからさ、これ以上彼女にとって大事な人を失わせたくない。
それが友人であっても、恋人であってもね。」
「・・・・・」
「だからさ、恵も強くなってよね?」
バシッと背中を叩くと、恵は眉間の皺を思いっきり深く寄せ不機嫌な顔で僕を睨んだ。
「・・・そんな風に考える時点でさんのコト、特別に想ってるって事じゃ無いっすか、、、」
「あはは〜〜そうかもね〜?」
ぺチッと自分のおでこを叩きおどけると、
恵は呆れたようにため息を吐いた。
「・・・強くなりますよ。」
「ククッ、頼もしいね?期待してるよ?」
恵、悠仁、棘、パンダ、真希に野薔薇。
そして憂太。
もう既に僕らは混沌とした呪いの渦に巻き込まれているのかもしれない。
ここ最近感じる"嫌な感じ"も気のせいなんかじゃない。
この先、誰一人欠けることないよう。