第6章 好きな人。
のその姿は僕でさえ、結構くるものがある。
黒く艶のある長い髪はまだしっとりと湿っていてシャンプーの香りを漂わせているし、ダボダボのスウェットは華奢な身体を際立たせてる…
てゆーかそれ、僕のなんだけどね(笑)
たしか一年前に貸したやつ、本人忘れてるみたいだケド。
キョトンとしてるの頭をひと撫でし、立ち上がった。
「んじゃ、もう大丈夫そうだし、僕は恵と話してくるから。
はもう少しゆっくりしてから出てくるといいよ。」
今はきっと1人になりたいだろうと思い、
後ろ手にヒラヒラと手を振り部屋を出て行こうとした。
『・・あのっ、、先生、、、!』
「ん〜?」
振り向くと、は少しだけ目を泳がせた後、じっと僕を見上げて口を開いた。
『私、、、ここに戻って来れて本当に良かったです…!
今日も、、、その…色々あったけど、、、
でもまたこうやって皆んなと楽しく過ごせて凄く嬉しい…です。』
顔をほんのり赤く染めながら、たどたどしく話す。
けど、その顔に僅かに影が差す。
『・・・だけど、、せっかく楽しい夜だったのに、、、恵君に嫌な思いさせちゃいました…。』