第6章 好きな人。
洋服類は全て、高専へと連れて来られた時に五条先生が買い揃えてくれたものだ。
ブランドに疎い私にはその価値がピンと来なかったけれど、野薔薇ちゃんの反応からして、どうやら凄いものらしい事は分かった。
「野薔薇は目ざといな〜?人のクローゼットなんか見て面白いかぁ?」
「めちゃくちゃ面白いっ!ちゃん普段高そうな服着てるから気になって!
やばくないっすか?クローゼットの中、宝の山ですよ⁉︎」
目をキラキラと輝かせる野薔薇ちゃんを見て、真希さんはククッと笑いだした。
「野薔薇はまだ分かってねーなぁ。そもそもは服のセンスなんてねーぞ?
服は全部悟が勝手に買ったやつだろ?」
真希さんの言葉に、その場にいた全員の視線が私に集中する、、
『・・・う、うん。』
何だか照れ臭くて小さく頷くと、
「えーーーーっ⁈⁈マジッ⁈⁈⁈」
「五条先生が?何で⁇2人ってデキてんの⁇」
「ほう、2人はそう言う関係だったのか。」
「ツナマヨ?」
皆んなの勘違いに私は慌てて首を横に振り否定した。
『違う違うっ!私、高専に突然連れて来られて。
その時、身一つだったから…しばらく外にも出れなくて。
だから先生が身の回りの物を揃えてくれたんだよ。』
「そう言う事かぁ」とそれぞれ納得する中、パンダ君が徐に口を開いた。
「そう言えばが戻って来てからは悟と一緒じゃないのか?
てっきり憂太がいないから悟と部屋使ってんのかと思ったゾ?」
「そういやそーだな。あのエロ教師の事だから憂太がいない隙に好き勝手やりそうなもんだけどな?」
私は曖昧な笑みを浮かべると、手元のジュースへと視線を落とした。
『あー、、うん。ほら…もう監視は必要ないから…。』