第5章 ただいま。
予想の斜めをいく返答。
ーーー呪霊相手に鬼ごっこ?
この人、何考えてんだ、、、?
『フフッ、私が鬼なんだけど、全っ然捕まえられないの。
壁も床もすり抜けるし、瞬間移動するんだよ?』
そう話す彼女は口元に笑みすら浮かべている。
あぁ、、、俺はこの人のこういうところが苦手なんだ…。
鎮まっていた苛立ちが沸々と沸き上がる。
「いや、、呪霊相手に何やってんすか?
俺ら遊びに来たワケじゃないんですよ?」
『うん、そうなんだけどさ。
あの呪霊、子供なんだよ…。
きっとまだまだ遊びたくて遊び足りなくて、人の多い学校に現れたんじゃないのかな?
かと言って学生を操って遊んでいたのは勿論悪い事だけど、、、
あの呪霊、攻撃してこないの。』
は?この人さっきから何言ってんだ⁇
呪霊が子供だから何だ、遊び足りないって⁇
一体何を言ってんだ⁇
彼女の理解不能な思考に苛立ちが抑え切れず、思わず声を荒げた。
「っ、、だから何だって言うんすか⁈
あんた術師だろ?術師なら呪霊に同情なんてするな!
あんたが祓えないって言うのなら俺が今すぐ、、」
全身に呪力を纏うと、さんが咄嗟に俺の腕を掴んだ。
『やるからっ!・・・ちゃんと最後は祓うから、、、。
少しだけいいの!あと少しだけ、、時間もらえないかな?』
掴まれた腕にギリッと力が入る。
こういう表情も…。
『ーーー恵君、お願い。』
こういう声も…。
全部苦手なのに、、、
俺の心を掴んでくる。
「ーーーーーーすよ…」
『・・・・ぇ?』
「ーーー5分だけっすよ…」
『⁉︎ありがとうっ!恵君っ‼︎』
パッと目を輝かせ花が咲いたように笑うこの人の事が…
この日から気になり始めていたんだ。