第5章 ただいま。
ーーーそして…
とある部屋のドアの前に立った私は、コンコンと控えめにノックをする。
中からは
「誰〜?空いてるよ〜?」と男の子の声がした。
ドキドキしながらドアが開くのをじっと待っていると…
ガチャ
ドアが開き、ピンク色の短髪の男の子がひょこっと顔を出した。
「ーーーあれ?えーーーっと、、、」
サプライズの相手、虎杖悠仁君。
戸惑った様子でこめかみあたりをポリポリと掻く彼を、私は上目遣いで見つめる。
『・・・・来ちゃった。』
普段絶対に言わないような恥ずかしいセリフに顔がじわじわと赤くなる。
「えっ⁈ちょっと待って⁇
来ちゃった♡って、、え?えっ⁇」
あたふたしている悠仁君を前に、
私は持っていた手荷物を胸にギュッと抱きしめると、
『・・・悠仁を追って上京して来たんだヨ?
今日から私と悠仁と、、、この子の3人で暮らそ?』
若干棒読みではあったけど、先生に言われた通り、片手でお腹をさすりながら意味深に微笑んでみた。
すると、
「ちょちょちょちょちょ、、えっ、えっーーーーーーーーーーー⁈
一旦落ち着こ⁇ねっ⁇一回整理しよ⁇
いや、ちょっと整理サセテクレル⁈⁈」
もはやパニック状態の悠仁君。
頭を抱えながら焦っている様子に何だか少し可哀想に思えて、階段の隅に隠れている五条先生にこっそり視線を送ると…
手を口に当てて笑いを堪えていた。
・・・うわぁ、1人だけ楽しんでる…。
そろそろネタバラシをしようかと口を開いた時、隣の部屋のドアが開いた。