第5章 ただいま。
「恋する乙女みたいな顔して。そんなに憂太に会いたかった?」
口の端を吊り上げ、五条先生が顔を覗き込んできた。
『ち、ちがっ、、いや、違くないけど、恋とかじゃなくて!
友達として、ですっ!』
あたふたする私を見て、先生は喉奥を鳴らして笑った。
「ククッ、照れちゃってカーワイ♡」
『ーーーーっ‼︎』
先生のこういう所…全然変わってない!
プイッと窓の外に視線を向け流れる景色を目で追っていると、
「。」
先程とは違い、急に真面目なトーンで名前を呼ばれた。
「ーーこの先、今まで以上に苦しい戦いになると思う。
呪霊だけじゃなく、時には人間を相手にしなくちゃいけないかもしれない。」
『・・・・はい。』
「それと、これは憂太にも同じ事を頼んだんだけど…」
五条先生は何か思案するように手を顎に当て、長い足を組んだ。
「ーーー最近、未登録の特級呪霊がゴロゴロ現れてる。
どーも嫌な予感がしてね…。
万が一、僕の身に何かあった時は今の1年、特に秘匿死刑の身である悠仁の力になってあげて欲しい。」
『・・・五条先生の身に何かって、、まさかそんな、、、』
事あり得ない。
ーーーけど、先生の顔は至って真剣な面持ちで、私はゴクリ、、と唾を飲み込んだ。
今まで助けてもらうばかりだった私が、誰かの役に立てるのなら、、、、
少しでも恩返しがしたい。
『ーーー分かりました。』
ひとつ返事をし、深く頷いた。