第2章 百鬼夜行
『ーーーーこれは、、、』
想像以上の悲惨な現場に呆然とその場に立ち尽くす。
あちこちから立ち登る白煙、崩落した建物。
道路の端に停まっていたであろう車は横転し、信号はぐしゃりとへし折れ、アスファルトの上は割れた窓ガラスや瓦礫があちこちに
散乱していた。
・・・・ここまで酷い状態だとは、、、
血の気が引き、顔が強張る。
そして視線を奥に向けると、トラックが道路を塞ぐように停まっているそこに、呪霊と対峙している術師を見つけた。
その術師は既に満身創痍、頭からは血を流し、片腕は骨が折れているのかダランと力が入らない様子で辛うじて立っている状態に見える。
『っ、、あんな状態じゃ無理だよ……!』
周りを見渡しても、他に術師はいない…
あのままじゃ彼は、、、、
「うあぁーーーーー‼︎」
その人はもう片方の腕で呪具を構えると、目の前の呪霊に飛びかかっていった。
けれど振り下ろした槍は容易く折られ、逆に呪霊の背中から伸びてきた触覚に捕まってしまった。
「くっ、くそっ、、、」
「イ、、イタダ、、キマーーー」
呪霊がガバッと大きな口を開け、その人を飲み込もうとした時、
バシュッ
私の目の前で呪霊は一瞬にして消え散った。
ドサッと地面に術師が倒れたのが視界に入り、私は慌てて駆け寄った。
『大丈夫ですかっ⁈』
「すげ、、、一発で…?一体何したんだ、、、⁇」
意識はしっかりとしているようで少しほっとする。
『…反転術式です。呪霊相手ならプラスのエネルギーを流せば一発で祓えるんです。』
「・・・はっ、マジか。呪霊に反転術式する人、初めて見たよ、、、すげぇな。」
私は目を伏せ首を横に振った。
『・・・全然ですよ。相手が呪霊なら少しは役に立てますが、人間相手だと私は全くの役立たずですから…。
あ、それより怪我見せて下さい、治します。』
「いや、、、俺より先にアイツを診てやって欲しいんだ、、頼めるか⁈」
その人が指を差した方向に視線を向けるとトラックのタイヤを背にし、ぐったりとした様子の女性を見つけた。
『ーーー分かりました、すぐに診ます。』
男性に肩を貸し、気を失っている女性の側まで来ると、彼女は既に虫の息だった。
「俺を庇って毒を食らったんだ…。頼むよ、、、何とかしてくれ、、、、」