第2章 百鬼夜行
フワリ、と優しく包まれ、夏油さんの香りが鼻先を擽る。
『あ、、、あの、、、』
突然の抱擁にどうしたら良いか分からず、オドオドしていると、
「ーーー正直に言おう。
悟や高専の連中にを会わせたくない。
すまない、、君を信用してないワケじゃないんだ。
・・ただ私が君を手離したくないだけだよ。」
予想外の返答に私は頬を染め、すっぽりと収まった胸の中から夏油さんを見上げた。
『夏油さん、、、』
「子供じみた我儘さ。・・がっかりさせたかい?」
困ったように笑う夏油さんと視線が重なり、私はフルフルと首を横に振った。
「フフッ、良かった。
けど、家族に何かあった時、治せるのはしかいない。
新しい世界の第一歩に、誰1人として失いたくないからね。
ーーー頼めるかい?」
『ーーーーはい。』
夏油さんの腕に力が込められ、今度はぎゅっと力強く抱き寄せられた。
「ありがとう、、、。」
夏油さんの家族を想う気持ちがひしひしと伝わってきて、私はそれに応えるよう、大きな背中に腕を回しぎゅっと力を込めた。