第10章 じゅう
「うん!!ホームズみたいな探偵になるんだ!!」
「そっか、頑張ってね」
探偵というワードを出した途端、キラキラとした笑顔で夢を語る目の前の少年が、眩しい。
思わずぽんぽんっと、頭を撫でてしまったけどコレって危ないかもしれない。
「コナンくん、何してるの?」
後ろから聞こえてきた声に振り返ると、制服姿の女の子。
どこかで見たような気もして、ならない。
「蘭ねぇちゃん!」
お姉様でしたか。
立ち上がって、ペコリと頭を下げる。
「すみません、先ほど弟さんとぶつかってしまったもので」
「あ、そうだったんですね。すみません、うちの子が」
向こうにも頭を下げられ、あわあわとしてしまいそうになる私に比べて、えらく落ち着いている。
さすが探偵さんのお子さんというべきか、2人ともしっかりしているな、なんて感心しているとふと目に入った。
絡まった糸の先で、2人の小指が繋がっている。
「お怪我は?」
目の前の少女に聞かれて、ハッとする。
「あ、いえ。私は全然。弟さんの方こそ、」
「僕は大丈夫だよ!」
「コナンくん、ちゃんと前向いて歩かなきゃダメだよ」
「はーい」
そういえば、この少年もどこかで…
「お二人、私とどこかで…って、ポアロで見かけたのかな」
この子も、ポアロで見かけたって言ってたし。
探偵さんの子供ってことは、テレビに映り込んでたかもしれないし。
「ポアロによく来るんですか??」
「はい。店員さんとちょっとした知り合いで、あと料理も美味しいですし」
「そうなんですか!私とコナンくん、ここの2階に住んでいて。私達も、よくポアロにいくんです。全然気付かずすみません」
「いえいえ、私もすみません。コナンくん?から、お聞きしました。テレビでよくお見かけする毛利探偵がお父様だなんて、素敵ですね」
「あぁ、いえ。父なんて全然。でも、ありがとうございます。
あ、自己紹介まだでしたよね。毛利蘭です。よろしくお願いします」
「ご丁寧に、あ、えっと…みょうじなまえです。こちらこそよろしくお願いします」
「僕の名前は江戸川コナン!なまえお姉さん、よろしくお願いします!」
江戸川?
「あ、僕の両親が遠くにいるから、蘭姉ちゃんのお家でおせわになってるんだ!」