第10章 じゅう
スルッと、絡まっていた糸が解けるように納得する。
姉弟同士で赤い糸が繋がってるという事に、少しだけ違和感というか切なさを感じたから、同居人って事なら良かった。
「なまえさんも何か困り事が会ったら、遠慮なく来てくださいね!
あぁ、良かったら連絡先交換しませんか??」
「私でよければ」
自然な流れで連絡先を交換する。
こんな事、初めてだ。
「僕も!」
「あ、うん」
突然出会った小学生と(多分)高校生と、連絡先を交換するなんて、これまでもこれから先もないと思う。
「お二人も、何か困った事があれば連絡してくださいね」
少し気恥ずかしくて、それを誤魔化すように笑う。
「うん!なまえお姉さんありがとう!」
「こちらこそ、…新しいお友達久しぶりだから嬉しいです。改めてこれから、よろしくね」
「私とも、仲良くしてくださいね!気軽にご連絡ください」
2人と出会った事で、すっかり萩原さん?という方のことは頭から抜け落ちていたけど、もうすでに運命が動き出していたことに、この時の私は気づいていなかった。
「引き留めてしまって、すみません」
なんて、お互いにそんな言葉を交わして別れる。
少し振り返った時、ちょうどコナンくんも私を振り返って目があったタイミングで手を振ってくれた。
それだけで、なんとなく胸がほっこりしたような気がする。
「あれ?なまえさん??」
「あ、安室さん」
「こんなところで、どうしたんです?」
「あ…ポアロに来たところで」
「そうなんですか。最近お会いしてなかったので、元気にしてるか心配していたんですが、ポアロにはよくいらっしゃってたんですか??」
「はい。でも、安室さんいなかったので…」
「僕、タイミング悪かったですね」
安室さんが苦笑いする。
「そんな事ないです。あ…そうだ。安室さん、毛利さんのお子さん達とお知り合いですか??」
「え?あぁ、蘭さんとコナンくんですか??」
こんなどうでもいい事、どうしてか報告したくなった。
どうでもいい事だけど、私にしたらすごく嬉しいことだったから。
「はい!さっき、友達になりました」
「それで…」
「それで?」
「あぁ、いえ。久しぶりに会ったら、なんとなくご機嫌そうに見えたので、よかったです」