第8章 はち
「2人の世界、入るのやめて貰っていいですか?」
ニッコリと、爽やかな笑み。
「つきましたよ、」
ほんとうだ、いつのまにかついてたみたいだ。
「わ!本屋さん!大きい!!」
「感想の語彙力のなさよ」
「松田サン、失礼。安室さん、ここ来てみたかったんですよ!
ありがとうございます!!早くいきましょう!!」
ガチャガチャと、ベルトを外す。
「素敵だぁ」
「お前、こう言うとこ好きなの?」
「うん!好き!洋館みたいでおしゃれ!凄い!」
ぷかぷかと頭の如く浮いてる松田サンに、話しかけられて答えたけど、よく考えたら外だった。
…気をつけないと。
「喜んでいただけて、何よりです」
隣に立った安室さん。
「早速入りましょうか」
安室さんがいるなら、話してても独り言にならないし、なんて思ってた矢先に着信が鳴る。
私のじゃないから、やっぱり安室さんの方みたい。
「すみません、ちょっと席外します。
先行っててください」
申し訳なさそうにいって、どこかに行った。
「忙しいのかな」
「ま、今までが異様だったんだよ。ほら、行くんだろ」
「うんっ」
それからしばらくしても、安室さんは戻って来ず。
そのあと受信音がなったのは、私の電話で。
《急に仕事が入ったので、そちらに向かいます。何かあれば、電話してください。でられなくても、後で折り返します。
仕事が終わるのが間に合えば、迎えに行きます。ゆっくり過ごしてくださいね》
「だって」
「過保護だな。まぁ、いいんじゃねぇ?早く他のも見に行こうぜ!本の続き買わねぇと」
「はいはい」
松田サンは、私と歩幅をあわせるように地面に足をついて。
これ、読んだことあるぞとか、これが気になるとか、私は一々忘れないようにインプットしてく。
松田サンのこと、松田さんの好み全部知りたい。
忘れないように、負けないようにしたい。
素直に言えなくても。
「あったぞ!5巻!!あれ?6巻だったか??まぁ、いいや」
そこの場所に人がいないことを確認して声に出す。
「よくないよ、こっちは家にあるもん。無駄に2冊になっちゃう」
片方、取り出して待つ。
「後は?どれ買う?」
「んー」