• テキストサイズ

無色透明な赤い糸       【DC】【松田】

第7章 なな


 嘘だろ、って。
 そんなこと、あってたまるかよって。

 けど、まぁ俺がこんな姿で存在している時点でおかしな話なんだけどな。

 「それから、勿論この案件は他言無用だ」

 当たり前だろ、したとしてもがこんな話信じるんだよ。

 「話は以上だが質問は?」
 「ありすぎて、むしろない」
 「受験生の勉強と同じだな。分からなさすぎて、むしろ分からないところがわからないって言う」
 「ゼロもそんなことあんのかよ?」
 「ふ、…一般論だろ」
 「いつか刺されるぞ、お前」
 「返り討ちにして差し上げますよ、そんな度胸があるならね。
 …って、茶番はここまでにしておいて、松田はこれからどうするんだ?」

 ゼロの目と、合う。

 …そんなの、決まってんだろ。

 「他でもない、降谷の頼みだからな」
 「のんでくれるのか?結構危険な賭けだぞ」
 「お前が言うなよ、」

 思い出すのはなまえと出会ってからの、長いようで短い濃い時間。

 「…頼めるか、なまえのこと」
 「もとより、そのつもりだ」
 「俺が耐えられるか、だな」
 「珍しく弱気だな」
 「だから、お前が言うなっつーの。気合い入れっからさ、…」

 …案外、楽しかったなって。

 「長い休暇になっちまったな」
 「…あぁ、そうだな」
 「そうだなって。…ったくよ、」

 あとどれくらいで、…なんて、そんなの俺次第じゃねーか。

 「とっとと、終わらせねぇと」
 「お前にはアクセルしかついてないしな」
 「言ってろ」

 空になったカップを片すのに、キッチンへと向かった降谷をカウンター越しに眺める。

 「なぁ、言うなよ。このこと、アイツには」
 「それは、僕が先ほど言いましたが?」
 「泣いても、慰めんじゃねぇぞ」
 「…酷い男だな」

 降谷の呆れた顔、結構見慣れている。

 「どっちが。…けど、お前だけは絶対、慰めんな」
 「他なら良いのか?」
 「揚げ足とんな、馬鹿」
 「ふ、」

 らしくないって、思ってんだろ?

 「鼻で笑うのも腹立つからやめろ。様になりすぎなんだよ、お前は」
 「褒めてます?」
 「ちょいちょい、安室挟んでくんな。っつーか、前々から思ってたんだけどよ、なまえに対して金輪際安室ムーブすんな。絶対やめろ」
 「そんな無茶な」

 そんなの、俺が1番思ってるっつーの。
/ 88ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp