第7章 なな
「じゃあ、順を追って説明しますね」
「あぁ」
「初めてなまえさんがポアロに来店した日あったでしょう。
あの日、彼女の挙動不審さが気になって、調べることにしたんです」
「付けたんだな?」
「致し方なく」
悪びれもなく言うもんだから、呆れてしまう。
「するとどうでしょう、お前の名前が出てくるわ、独り言がきこえてくるわ。
おかしなことに1人で会話してるような話し方なんですから」
「あぁ」
「まぁ、聞いたのはその日だけですよ。電池も切れてしまいましたしね。
そこから風見に調べさせて、面白いことも色々わかって」
「お前の部下かわいそうだな」
「優秀で助かってますよ。…それから、僕の追ってるって言っても、潜入してる方じゃない、別件の方なので安心してくださいね」
「お前なんこ案件抱えてんのよ」
「生きるのに必要なだけ」
「金ロに影響されてんぞ、おい」
ゴホンと咳払いをして、話を続ける。
「前から気になってはいたんです。人体実験、この時代じゃ珍しいかもしれけど、噂になっていたので」
「それって」
「超能力って言えばわかります?テレパスとかそういうやつ。
…物理的に作ろうとしてたみたいで、それの失敗が彼女。
赤い糸を目視できるなんて言ってたけど、多分そう言うことなんじゃないですか?」
少なからず、俺は同様していた。
「松田がこうなってるのは、どう言う原理か分かりかねますが。
彼女が両親って思ってる人間は、その組織で科学者をしていたようで、失敗作の彼女の処分が決まっていたところを助けだし、脱走し、見事に逃げ切り、彼女を育てていた折、それがバレて」
「…あまりにも壮絶で、絶句なんだが」
「それからもう一つ」
「まだあんのかよ!」
「辞めときます?」
「辞めんなよ!むしろ、気になっちゃうだろうが!!」
「ふっ、」
「なんだよ、ふっ!て!」
ツッコミし通しで、そろそろ喉が枯れそうなんだが。
「心して、聞けよ。『 』」
「え、今、なんて…いったんだよ」
「だから『 』なんだ」