第7章 なな
side松田
「行ったか」
「あぁ」
彼女を見送った後、ゼロがエプロンを外しながらリビングへと向かう。
それについていく俺。
俺の方が勝手知ったるはずなのに、ゼロの方が馴染んでいるようにも思う。
「座れよ。浮かんでるの見るの落ち着かないんだ」
「あぁ?ん。で、何?」
「何って?」
「改まって、どうしたんだよ」
朝食のついでに淹れた本格的なコーヒーは、自分のために淹れたらしい。
「…あぁ。なぁ、松田。単刀直入に言うけど、彼女ってお前にとってどんな存在だ?」
「…」
「…」
「…どんな存在ってよ」
「それによって処遇が変わるって言ったら?」
「…っ、お前、嫌なやつになったな」
「馬が合わないのは、初めからだろ」
ニヒルな顔をしてそんなことを言うもんだから、思わず舌打ちをする。
「心配なんだよ、なんつーか。わかるだろ、ここ最近アイツと俺のこと見張ってるお前なら」
「バレてました?」
「馬鹿にすんなよ、何となく腹のうちはよめるっつーの」
「…彼女、僕が今追ってる組織のボスの隠し子なんですよ」
「は?」
「って言っても、実験に使われるためにとられた養子なんですけど」
「いや!なにをぽろっと!重要な案件を易々と!ぽろっと!!言っていいことと、悪いことがあんだろうが!!」
キョトンとしてやがる。
「ええ、だから、お前に協力者になってもらおうと思って」
「お前、口調が…ゼロとバーボンと降谷が混沌としてんじゃねぇか!
どれだ、どのお前なんだ!!」
「で、どうする?協力者になるか、ならないか」
「話を進めんな!困惑してるんだ!こっちは!!」
「困惑具合で言ったらお前に再会した時から、ずっと僕は困惑してますよ。
肉体がないんだから。どんな化学です?僕、証明できないことって拒否反応でるんですよね」
「それはそうだけどよ!」
ゼロが優雅にコーヒーのカップを傾ける。
「落ち着けよ、いい大人が」
「いや、俺あん時で時止まってんだわ。お前よりはガキなんだわ。認めたくねぇけど!」
すごくかわいそうな目で見てきやがって!
「…どれから説明して欲しいです?」
「とりあえず最初から」
おい、ため息ついてんじゃねぇぞ!