第7章 なな
…いよいよだな。
「いよいよだな」
心の声が漏れてしまったかと思えば、松田さんと目が合う。
「さ、行ってらっしゃい」
私に笑顔を向けてくれてはいたものの、青筋が浮かんでいらしたのは、大変ビビりあそばされた。
日本語がどうにかするくらいには。
…美人ってキレると怖い。
「行ってきます」
持たせてもらったお弁当箱を片手に駅へと向かう。
安室さんは、送迎もやってくれるところだったみたいだけど、流石にそこまで甘えてられないし。
安室さんなしじゃ生きれないみたいな、紐になるのは勘弁願いたいし。
まぁでも、帰りは松田サンが早く本が欲しいと駄々をこね、結局2人で迎えにきてくれるっていうから、今日の帰りはお言葉に甘えると伝えた。
っていうか、そんなに読みたいならそれこそアムロママに頼んで全巻用意して貰えばいいのに。
電車にのる。
今日はやけに空いてるような気もして、余計にラッキーをかんじる。
いつもは座れないのに、今日は座れたし本当ラッキー。
安室さんのご飯を食べてから、なんかすっごくラッキーが続く。
あの激うま回復飯、色んな意味でご利益あるんじゃない?
このお弁当もだけどっ
あぁ、早くお昼にならないかなぁ…。
なんて、この時の私はやけに浮かれて、
だから、…
だからかもしれない。
ラッキーはずっと続かないってこと、
少し浮かれすぎた私に、
まるでお灸を据えるみたいに、現実が教える。