第6章 ろく
めりめりっとその手を外し、言葉をつづける。
「とにかく!」
「ネタバレだって有罪だからな!」
ビシッと指を指してきたから、ボキッて違う方向に曲げてやる。
「なんで好きって言った相手に、違う人紹介されなきゃいけないんだよって話」
大丈夫、松田サン幽霊だから。
「あ?」
「デリカシーどこ置いてきたんですか?引き合わせるためって、わかりやすいバトンタッチじゃないですか。
私が好きなのは、松田サンなのに。
バトンタッチするならせめて、私がいないところでやってくださいよ」
「やっぱり、好きって言ってんじゃねーか」
ばきってしてる方の手首をガシッと掴まれる。
「痛くねぇけど、見てて痛てぇきがするからやめろ」
「ふん」
「ふん、じゃねーよ。ほら、行くぞ。アムロサンが待ってんだろ」
「ムードクラッシャーマツダ」
「お前だけには言われたかねーよ」
ーーーー
ーー
安室さんの車、助手席に私。そして後ろに彷徨う松田サン。
「コラ松田、おとなしく座ってろ。いい大人なのに」
「幽霊だから仕方ねぇだろ」
「僕は非科学的なこ」
「信じねぇも何も、事実こうなってんだろうが」
「なんでもいいから座ってくれ。運転に支障をきたす」
「車何度も大破させてるくせに言われたかねぇよ」
ギュインだと踏まれるブレーキ。
死ぬかと思った。
「なんで知ってる?」
大破させてる否定しないのかよ。
「年上の部下困らせんなっつーの」
足を組んで態度悪く、言う松田サン。
「年下の先輩困らせたお前に言われたくないな」
「刑事の暦がたまたま長ぇってだけで、先輩じゃねーよ。世話係だ」
「俺は誰のことって言ってないけどな」
売り言葉に買い言葉。
「2人ともどっちもどっちですね」
「な!!」
「俺は松田とは違いますけどね。国民を守るためなんで」
「俺だって国民守ったじゃねぇかよ」
「自分が犠牲になってちゃ世話ないですけどね」
「似たもの同士か」
「「ちがう/いますよ!」」
「声、揃ってますけど」
入った顔を晒せた2人。
そんなとこまでそっくりだ。
「仲良いんですね」
「まぁ、」
「そうでもありませんよ」
「な!」
「初めて会った時、気に食わなすぎて殴り合いになりましたもん」