第5章 ご
「君がどうしてそこまで、アイツを想えるのか単純に気になった。
もし、本当に赤い糸なんてものがあるなら、
確かに、君は繋がってたんだろうね、それなら、今の状況も説明がつく気がする。
本物のあいてだから、そこまで苦しくて悲しくて、温かいって思うんじゃないか…と、考察してみて思ったことがある」
「考察?」
「僕、理屈っぽいところがあるらしいから」
悪戯に笑う安室さんはいつもより少し幼く見える。
「僕らなら、上手いこと行くんじゃないかって。お互いの思い出を共有しながら」
「と、言うと?」
「正直僕は、この短時間で君のことを幾分か理解した。危険だと思った。
そこまで想うアイツへの気持ちが、君を焼き尽くしてしまうんじゃないかって、君が消えそうで怖いと思った。
だから、もう1人で泣かせたくない。
君のことをもっと知ってみたいとおもったし、僕のことを知ってほしい」
「…」
「だから、よかったら、友達から始めないか?」
「ともだち?」
「気の置けない友達が欲しいって思ってたんだ。どうかな?」
ほろ、っと涙が出たのはなぜだろう。
「僕と友達になるメリットは、僕は絶対死なないから、君のことを1人にしないってことだ」
「うん、」
「松田のことはずっと好きで居てやってくれ」
「うん、」
「泣きたいなら、僕が胸を貸してやる。それで、どうかな?」
「うんっ、なる」
ぎゅっと、安室さんの手を握る。
驚いたような顔をしたあと、ものすごく優しい笑顔を浮かべていた。
「なら、まずは風邪を治そう。いいな?」
「うん」
私と繋がっている方の手と反対の手で、ぽんぽんとちょうどいいリズムであやしてくれている。
お陰でまた少しずつ、眠くなった。
『君の言葉を借りるなら、松田との絆を通して僕と君も繋がってる、ある意味運命の相手なんじゃないか』
って、微睡の中で聞こえた声に、私はひどく安心したのだ。