第4章 よん
「ふっ、」
「笑い事じゃないもん。大体、松田サンが助言してくれれば!」
ばっと顔を上げて、サングラス越しに目が合う。
「悪かったな。巻き込んで」
「…ううん。
ごめんなさい、墓穴掘ったの自分なのに八つ当たりした」
ひどく優しく笑ったから、それ以上責められなかっただけ。
「ま、もう“ゼロ“さんと会うこともないだろうし」
「それはどうだろうな」
「え…」
「あいつ、気になったらとことんだから。盗聴器でもつけられてたらヤベェかもな」
「は?」
「GPSならもっとヤベェな。地の果てまで来るかもしんねーぞ。」
と、そこで思考が止まる。
GPSとか、盗聴器とか、一般人につけるなんてことある?
「類は友を呼ぶんですね、松田サン」
思わず遠い目をしてしまった。
「んだよ、その目はよ!」
「薄々、松田サンがやばい人種であることは、分かってきてはいたんですけど」
「どういう意味だ、コラ」
「堅気っぽくないのに、刑事やってる時点で嘘でしょ、、って、話を戻しますけど、私はそんな人とこれから戦ってかなきゃいけないってことですよね?あなたのことをバレないように」
「………………
…………ま、大丈夫なんじゃね?」
「…」
「…」
「なんですか!?今の間!これでも私真っ当に生きてるんです!虚偽とか詐欺で捕まりたくないんです!」
「ははーん。お前気づいてないんだな」
「へ?」
「警察になったら、ゼロともある意味同職になるわけだ」
「あ…、ん?そうだよね。
松田さんのライバルっていってたもんね。」
でも、ゼロさんは、警察なのにカフェの店員?
「公務員って、掛け持ちだめじゃないの?」
「…………………まぁ、色々あんだよ。大人には。
なったらわかるんじゃねぇの」
……ふーん、そう言うもんか。
「納得いってないって顔だな」
「スパイとか?」
「さぁな」
意外そうな顔で笑った松田さんの、真意は分かんないけど。