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無色透明な赤い糸       【DC】【松田】

第4章 よん


 恐る恐る、壊れたブリキの人形みたいにギギギと後ろを向く。

 ピキッと青筋を立てた笑顔な気がする。
 ニッコリと笑ってるのに、ゴゴゴって後ろに阿修羅が見える。

 わかる、わかるよ!
 どっちかって言ったら天使扱いされるビジュアルだもんね?

 それが野生の王者、ゴリラって言われたらおこるよね?
 私も怒るー。

 そういえば、いつか見たドラマで笑顔は威嚇からの派生でできたコミニュケーションってきいた気がする。
 初めて聞いた時は嘘だろっておもったけど、あながち間違ってないのかもしれない。だって、

 …それを体現している。

 「何が、ゴリラじゃないんです?」

 …終わった。

 「好きな動物…とか?わ、私熊がすきなので!」

 いきなり好きな動物、叫ぶ奴いるかって話。
 ツッコミが入る前に、自分でしとく。

 「へぇ…」

 フワッといい匂いがする。
 そして首元にサラッと髪が当たって、多分この人のだと思う。
 多分じゃない。
 近距離すぎて、背中に体温が当たってる。

 耳元でする息遣いに、身震いする。

 「キミは、何か知ってるのかい?」

 こういう時は、何と返せばいいのか。
 …浮かばない。

 「…何かって、なんですか?」

 咄嗟に出てきた策は、質問返し。
 松田さんだったら、殴ってくるに違いない。

 無言の圧力に、ひゅっと喉が鳴る。

 熱が離れたと思ったら、肩を掴まれクルッと体を椅子ごと回される。

 目の前の綺麗な顔に、また息を止めてしまったのは、その表情が少し悲しみに染まっていたから。

 「…すまない、怖がらせるつもりはないんだけれど」

 そう切り出して、

 「さっきから、キミは"マツダ"とか、“ゼロ"とか、…"ゴリラ"とか、僕しかいないのに、一体誰と話しているんだい?」

 核心を突く言葉を言ってくる。

 "ゴリラ"の時は、少し怒気を含んでいたけど。
 それ意外は、優しく言ってくる。

 「…っ、」
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