第4章 よん
「合コン行ったことあるんだ」
「学生だったら、誰でも一回くらいはあんだろ。よっぽどじゃ無いかぎり」
…そんなの勝ち組の言い分でしょ。
って、私のこと可哀想な目で見てるし。
「いいなー、勝ち組」
「つっても、俺の親友ほどじゃねぇけどな」
「親友の話じゃなくて、本当はそのおねぇさんの話したいんでしょ」
「……………やめだ、やめ!
なんだよ?!さっきからジメジメしやがって!」
「梅雨だもん」
「時期の話してんじゃねーんだよ!妬いてるわけでもねぇなら、言いたいことあるんなら言えよ!」
じっと、松田サンのサングラスの奥を除くように、視線を向ける。
「…なんだよ、」
「いーや、ただ松田サンのコイビトも親友も大変だろうなって思っただけ」
「嘘つけ。お前のことだんだん理解して来たぞ」
「ふん、ミスリードかもしんないよ、それ」
「いーや、案外分かりやすいぞ。アンタ」
ずっとサングラスを持ち上げて優しげに目を細めた。
「心配しなくても俺は今んところ、お前と離れらんねーみてぇだし?成仏するまでは一緒にいてやるよ」
「ま、居候もいないよりはマシか」
「やっぱかわいくねぇ」
そう言って先を飛んでいる松田サンの、背中を私はただ眺めている。
「かわいくないもん」
そんなの知ってる…。
「って、なんであの人の言葉に一喜一憂しなきゃ行けないんだよ、バカ!ムカついたらお腹空いて来た!!」
「太るぞ」
「育ち盛りだからいーんだよ!」
「育ち盛りって、もう旬過ぎてんだろ」
「最低」
「まぁ、タッパと胸はもうちっと…」
ーばこっ
「お前だと痛いんだよ!」
「天罰よ。って、本当にお腹空いた。松田サン探して来てよ」
「んだよ、何食いてぇんだよ」
「なんでもいい」
「それ、主婦が1番困るやつだからな。って、何でもいいならここでいいじゃねーか。さっさと済ませて帰ろうぜ。昨日の漫画の続き見てぇんだよ、俺は」
そう言って、松田サンが指を刺したのは、とあるビルの一階に併設されたカフェ…純喫茶?
「おされー、花壇の前に猫ちゃんもいる。そういえば、動物なら松田サンのこと見れそう。行ってみよ!」
そういうと、渋々ついて来た松田サン。
「毛利探偵事務所?…へぇ、こんなところに、探偵ねぇ。さぞかし儲かるんだろうな」